野村秋介と朝日新聞幹部、最期の対談
戦後政治を悪くした社会党

野村●これは、私の倅ですけどね。私は彼に、男としては少なくとも誇りを持て、男は節義を全うしろと。だから、俺の前では決して泣いてはならん。お母さんの言うことは、「はい」と。これだけしか教えてないですよ。

中江社長(以後、中江)●この間、新潮の増刊号(「短歌俳句川柳101年」)、買いました。

野村●あ、どうもどうも。

中江●あれは解説にもありましたように、たしかに悲憤憤慨があったという意味でね。そのこと以上に、ものの哀れが行間に滲み出てて、……もう、何句も作っておられるんですか。投句はされない?

野村●投句はしません。たまたま、これを中上健次が見てね、「これはすごい」というふうに言ってくれたことが何かに書いてある。それで、この選者は三十八歳の若い人ですがね、目にとまって、要するに俳句というのは侘びとか、寂とか、そういうもんだろうと。それが違ったと。

中江●野村さんから最初にお手紙いただいたときにね、その達筆には……。

野村●いやいや。刑務所で暇つぶしでね。王義之をはじめとして、ああいう人たちの書を眺めているのが、とっても心がやすまるんですよ。自分でも、こういう字を書いてみたいなあと思って……。まあ、書家には見せられないんですけどね。自我流で、この題字(「さらば群青」)も僕が書いたんです。

中江●自己流でも、やっぱりわれわれには書けないだろうと思うんですけどね。

野村●ハハハハ。社長さんは経済畑に勤めていらっしゃったんですか。

中江●はい、経済部です。

野村●日本の将来はどうなりますかね。

中江●経済一辺倒で来てますからね。やっぱり政治……。今後、国際社会の中の日本ということになりますと、精神性をもっと重視してゆかないといけませんね。相変わらずエコノミックアニマルと言われていますから。

野村●それでね、結局、こんどの政権交代をしたということに日本人のバランス感覚はすごいなと僕は感心しました。しかし、どんな政権をつくったところでねコップの中の嵐なんですよ。だって日米安保条約がある以上は、独自の外交政策はとれないわけですからね。もう一つは、憲法がある以上は身動きとれない。これはもうどっかで修正しなきゃならないと思うんだな。戦後の政治を悪くしたのは社会党だと思うんですよ。あれが向坂理論、階級闘争論に固執しなければ、政権交代は可能だったと思うんですね。ところが、それを支持したのは朝日なんですよね。朝日を基盤としてね。きょうも(シンポジウムに)オブザーバーとして来ていますけどね、国学院大学の大原教授。ああいう人たちの集会や意見は一行も報じない。その代わり、左翼の人たちの集まりは、小さくても大きく取り上げる。そういう傾向がずうっと続いてきている。だから、本当のことを言って、日本のナショナリストっていうのは、大原康男だとか、弁護士の成田建治だとか、清川光秋とか、そういうそ民族派の人間がいるのに、右翼っていうと宣伝カーという……なんて言いますか、悪材料に使われるから、弁護士や大学教授で「私は右翼です」って名乗る人はいないわけですね。「私は民族派です」って名乗れないんですよ。それをつくってしまったのは右翼自身の責任であると同時に、やっぱりみなさん方が意図的に、社会党を支持し、そしてナショナリティというものを黙殺してきてしまった。そういうようなことのこもごもをね、本当の公の場で(討論)したかった。

中江●まあ、我々も国際化時代の幕開けで、ナショナリズムといいますかね、いろいろ研究資料を作ったり、勉強しなくてはいけないと思っております。

山形の無節操を批判しろ

野村●まず、青少年が国家というものに誇りを持つ、国家じゃなくてもいいから、自分自身に誇りを持つということ、これが先決だと思うんですよ。持たせるということが。日の丸がいけない、靖国神社はいけない、天皇はいけないじゃね。それで「侵略戦争をやりました、すみません、すみませんでした」って言ってたんじゃ、子どもたちは一体何に誇りを持つの。僕は人間が生きてゆく上で一番大事なのは誇りだと思いますよ。僕は、あなた方から‘虱’って言われたけど、虱で十分。しかし、虱でも、一寸の虫に五分の魂ですよね。虱でも、それだけの根性のすわっている人間がいるんですよ。いま、「ストップ・ザ・エイズ」というキャッチフレーズがあるけど、「ストップ・ザ・ホワイト」をやったのは日本ですよ。それだけだって、大した大事業です、歴史的な。そういうことすら、教科書に書いてない。フィンランドだったかな、トーゴー(東郷)っていうビールが売ってるの、ねぇ。よその国がちゃんと教科書で日本の功績を讃えているのに、日本は日本人でありながら、そういう先人たちの功績を子供たちに知らしめない。韓国の問題もそうです。韓国は日韓友好条約があるにもかかわらず、反日感情をさかんに、感情的にやってますね。じゃあ将来、徹底的に反日感情を持たされた子供たちが大きくなって、本当に日本と韓国が仲良く出来るのか……。こういうことはね、何が是で何が非かということは、やっぱり堂々と議論しあって、感情的に日本は嫌いだとか、朝鮮人は嫌いだとかいうようなことは、もうこのへんでやめなきゃいかんと思うんですよ。(過去の歴史を見ても)朝鮮半島というのは、非常に難しい、大切なポジションにあるわけです。だから仲良くしなくちゃならないのに、例えば藤尾正行(当時、文相)たちが「日本も悪かった、でも韓国にも非があるんだよ」と言ったときに、朝日は徹底的に藤尾発言を封じたですな。今回、社会党の山形なんか、PKOにあれだけ反対してて、ころっと寝返りをうって、こんどはPKO賛成だなんて言ってね。ああいう無節操なことをして「いや個人としては反対だが、閣僚としては賛成だ」なんて言っているでしょう。それに対して、朝日はほとんど批判しないですねえ。自民党の藤尾正行たちが「韓国にも悪いとこがあった」と言ったとき、あんた方はさんざんたたいた。クビまで切らしちゃったんだ。 今回、山形がああいういい加減なことを言っているのて、なぜ、あなた方はやってくれないの、やらないの。僕は不思議でしょうがないんだよね。長くなりましたけど、ともかく青少年たちが誇りを持っていかれる日本にしていただきたい。分かりますか。

山本●はい。……それじゃ野村さん、みなさんもお待ちでしょうし、また私どもは、いろんな機会に野村さんのお話を伺うということで。
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